IoT
モノがネットワークにつながり、デジタル領域を拡張する
ビジネスの変革を多くのデジタルテクノロジーが促進しています。そのひとつがIoT(Internet of Things:モノのインターネット)です。デジタルデバイスの高機能化と低価格化、無線ネットワークの普及、ビッグデータやAIなどの発展と歩調を合わせることで新たな用途が広がっています。
IoTとは
IoTは、Internet of Thingsの略で「モノのインターネット」と訳されています。さまざまなデバイスをインターネットに接続して、情報を交換させて相互に制御させようという仕組みの総称です。
インターネットは、複数のコンピュータネットワークを相互に接続することで地球規模のコミュニケーション基盤として発展してきました。現在では、個人から企業や公共団体まで多くの人と組織がインターネットを利用して膨大なメッセージをやり取りしています。
このインターネットをデジタルデバイスとの接続に拡張したのがIoTです。モノをインターネットに接続することから「モノのインターネット(化)」と呼ばれています。
なおデジタルデバイス側で高度な分散処理をおこなうことをエッジコンピューティングと呼びます。エッジ側でデータを処理することで、デジタル情報のノイズや変動を減らし、ネットワークの帯域を節約する効果が得られます。またデジタルデバイス同士が相互に情報をやりとりすることを、M2M(Machine to Machine)と呼びます。IoTがインターネットとの接続を前提にしていますが、M2Mは独自のネットワークで通信をおこなうという違いがあります。
IoTのメリット
多数のデジタルデバイスがインターネットに接続することで、多くのメリットが生まれます。
まず、人や組織がデジタルデバイスからのデータを受け取れるようになります。デジタルデバイスは多くのセンサーを搭載しており、周辺の環境やデバイスを持っている人間の状態を把握しやすくなります。また、人や組織さらにはコンピュータから、デジタルデバイスをきめ細かく制御したりデバイス同士を相互に協調動作させたりといった環境が実現できます。
IoTの応用分野
IoTは、すでに多くの分野で活用されています。
日常生活では、多くの人がスマートフォンを使っています。スマートウォッチやスマートスピーカーを使う人も増えてきました。
交通系電子マネーは、RFIDという非接触型の近距離無線タグにより認証しています。交通系電子マネーに対応した改札機や自動販売機がインターネットに接続することで、多くの人の行動の追跡と決済が実現しています。
自動車では、搭載したセンサーやカーナビ・ビデオカメラと連動したメンテナンスサービスや保険サービスも注目を集めています。
このようにIoTは、身近なところに広がっています。自社のビジネスにおいても、活用できる可能性があるはずです。
デジタルテクノロジーとの連携
IoTが広がった要因は、さまざまなセンサーを搭載したデジタルデバイスの高機能化・低価格化だけではありません。センサーが増大しても膨大なデータが集まるだけで、そこから有意義な情報を取り出すのは困難です。制御対象が増えれば、指示を出すコンピュータの処理能力も必要です。
IoTでは、いくつかのデジタルテクノロジーとの連携が重要になります。
まずは、膨大なデータを処理するためのビッグデータに関する技術です。収集した膨大なデータをリアルタイムで格納・分析することになります。デジタルデバイスとクラウドを接続するネットワークの構築も重要です。さらに、集めたデータから有意義な情報を取り出す場合には、機械学習や深層学習といったAI技術が活躍します。
IoT実用化のポイントは多様な環境への対応
何よりIoTの実用化で重要かつ不可欠なのは、多様な環境への対応です。IoTのデジタルデバイスが動作する環境には、気温の変動や騒音・電気的なノイズ・ネットワークの安定性などさまざまな外乱要因があります。こうした変動要因のなかで安定した性能を発揮するには、多くの技術的な裏付けと豊富な経験に裏打ちされたエンジニアリングが必要になります。
たとえば、私たちは、これまで倉庫や自動車整備場といった環境での開発に取り組んできました。
今後、AI技術との連携でIoTが多様な環境にさらに広がっていくでしょう。